うみになる 野原にじうお詩集 

詩集

うみになる 野原にじうお詩集 
2026 年2 月14 日発売 
著 者   野原にじうお
 絵    篠原晴美
発行所   四季の森社
ISBN978-4-905036-45-6 C0092
定価1320円(本体1200円+税)
A5変形上製本  144ページ

著者 野原にじうお(のはら にじうお)
鹿児島生まれ、長野育ち、栃木に在住。
日本児童文芸家協会 第18回創作コンクールつばさ賞 詩・童謡
部門優秀賞、文部科学大臣賞を受賞。
『子どものための少年詩集2022』優秀作品に選
ばれるなど。うつのみや童話の会、サークル・拓、
詩誌「みみずく」「やさしい詩」同人。草創の会会員。
日本児童文学者協会会員 日本児童文芸家協会会員。

画家篠原晴美(しのはら はれみ)
神奈川県に生まれる。
木版画家(水性木版画で作品を作る)
主な受賞歴 2000、2001、2003、2006
年ボローニャ国際絵本原画展入選、2000年フラ
ンスFigures Futur 2000(児童書ブックフェアー)
入選。詩集『いつか会った風に』『ともだちいっぱい』
(四季の森社)などの装画装丁をはじめ、童謡絵本
や児童文学雑誌の表紙、挿画など多数。グループ展
や個展の活動も精力的に行っている。川崎在

詩集から

  うみになる

わたしのなみだが ぽつんとおちた
おかあさんにおこられた

いもうとのなみだが ぽつんとおちた
おかあさんにおこられた

ひとりぼっちの なみだが ぽつん ぽつん

もしも いもうとのてを しっかりつないだら
なみだは ひとりぼっちじゃなくって
おおきなうみに なったかな

いもうとのなみだは
わたしのなみだのなかに ぱしゃんと おちる
ぱしゃんと おちて みずしぶき

あおい うみの まんなかで
いるかが ジャンプ
おきにいりのうきわで いもうとは てをふる
「おねえちゃーん」

ごめん ごめんね
こんどは しっかり てをつなぐ

つないで こんどは 
うみになる

いもうとのなみだが わたしのなみだに
ぱしゃんと おちる

ぱしゃんと おちて
うみになる

    はがねの虹

かわききらない道路に 丸い虹

オイル染みやん きたないなあ
声が通り過ぎた

黒いアスファルトに
楕円の結界をつくっている

まるで あの子たちとわたし

やさしいけど 残酷で
暗いことは 遠ざけて
普通を守っている
ひるまのひかりにてらされて

わたしは油染み
スカートについたら大変
ブラウスについたら大事
でも
道路にあれば
よけて通れる

にじんだ円
完璧じゃない
だけど

銀色に光る
はがねに青く光る

鈍色の虹
すごく きれいだ

  うそかな? ほんとうかな?

わたしのなかには
やわらかい木があって
ごくごく水を飲んで
あおいあおい葉をためている

わたしのなかには
はてしない海があって
くじらの島が
1000の人と3000のペんぎんを せなかにのせて
旅をしている

わたしのなかには
おおらかな空があって
海王星も天王星も
お手玉にして 太陽があそんでいる

わたしのなかには
おだやかな大地があって
ぞうをきりんをらいおんを たくさんのきょうりゅうを
どこまでも 走らせている
よろこびに 走らせている

それは ほんとうかもしれない うそかもしれない

わたしのなかには
アツアツの地獄があって
わたしにいじわるをした人を
毎夜 煮こんでシチューにしているのかもしれない

だって
わたしのこころのことだもの
ほかに だれも しらないの

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