2024 年2 月14 日 発行
著 者 秋元里文 絵と装丁 波田佳子
発行所 四季の森社 ISBN978-4-905036-39-5 C0092
上製A5変形 カバー装 本文136ページ 定価1650円(定価本体1500円+税)
帯より
「悩む少女がいます。あなたとおなじ少女です。ただいま、ちょっぴり、脱皮中」
だれよりも、秋元里文の詩は問いです。(わたしはだぁれ)だから、ときどきまぶしい青空。(内田麟太郎)
著者 秋元里文(Satomi Akimoto)東京都在住。10歳くらいから詩のようなものを書きはじめ、主にブログに作品を発表。児童文学者協会「一日だけの詩の教室」や詩論研に参加。2008年協会発行『日本児童文学』への投稿をきっかけに菊永謙さんに拾われる。これまで「少年詩の学校」「ざわざわ」「ネバーランド」「詩と思想」などにも作品を発表。「みみずく」同人、草創の会会員。『月にすっぴん』が初の詩集となる。
イラストレーター 波田佳子(Yoshiko Hada)東京都在住、フリーランスイラスト
レーター。世の中がワクワクしていくような無国籍で遊び心のあるそのスタイルは国内外の幅広い媒体に支持され、TV番組、CDジャケット、テキスタイル、また海外のアパレルブランドとコラボレーションをてがける等、活動の場は多岐にわたる。2021年ボローニャ国際絵本原画展入選、2018年Ilustrarte入選、2015年TIS入選、他入選
多数。
詩集『月にすっぴん』より
髪を切る
期待と
不安が
ハサミと一緒に
交差する
ぱさ ぱさ ぱさ
床に落ちる
昨日までのわたし
鏡の中で
目が合う
知らないわたし
仲良くできるかな?
… よろしくね …
新しいわたし
ふたり乗り
いつも立ち話してる
制服姿のふたり
飽きもしないで
何時間も
いつまで経っても
ずっと立ち話
あの子たちには
ドラマのような
ふたり乗りが
似合いそう
あの頃
恋人ができたら
するものだと思ってた
自転車で
ふたり
ずっと走って
どこまでも
どこまでも
誰も見てない道を
はしゃぎながら
自転車で
ふたり
ずっと走った
行くあてもない
夕暮れの空の下
ただ
もっともっと
遠くまで
連れて行って
欲しかった
ずっとずっと
一緒に
青
もしもこの世に
青がなかったら
すべての魂が
帰る場所を無くしてしまう
空はどうしただろう
海はどうしただろう
雲はどうしただろう
わたしは
どうしただろう
きめたの
わたし
きめたの
かんたんに
なかないって
わたし
きめたの
むりして
わらわないって
わたし
きめたの
じぶんで
きめるって
わたし
きめたの
しぬまで
いきるって
むずかしいけど
そうするって
きめたの
きぬたの
たぬきと
そう
きめたの
ショートケーキのいちご
ぴかぴかの
いちご
しろいクリームのドレスきて
おうじさまを
まっている
どんな ステキな ひとかしら
まどのそとを
ながめても
なかなかあらわれない
おうじさま
そのひ
あらわれたのは
おじいさま
「ショートケーキをください」
いちごはうなだれ
はこにつめられ
みせをたびだった
はこのなかで
いちごはないた
まだみぬ
おうじさまにあいたくて
おじいさまがうらめしくて
おじいさまは
いえにかえり
ひとりでこうちゃをいれ
てんごくのこいびとを
おもいながら
あまずっぱく
ケーキをいただいた
そのばん
おじいさまは
おなかがいたくなった
しくしく しくしく
しくしく しくしく
だれがのこえをききながら
しくしく しくしく
しくしく しくしく…
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